借金の取り立てに関する法律が制定された経緯
お金を借りた側(債務者)は、どうしてもお金を貸した側(債権者)より立場が弱くなってしまいます。
そのため、借金の取り立てに関する法整備が不十分だった数十年前には、鬼のような恫喝まがいの取り立てが行われることがありました。 いわゆる「サラ金の借金取立て問題」です。
サラ金の取り立てが社会問題化した結果、取り立てを規制する法整備が行われました。
その結果、現在では法律により、債権者あるいはその代理人(取り立ての委託を受けた者)による借金の取り立て方法は厳しく制限をされています。
もし債権者(貸金業者)がこの法律に違反した場合には、行政が業務停止処分が下したり、犯罪として懲役や罰金という刑罰が科せられることとなります。
取り立て禁止事項の内容
借金の取り立てを規制する法律は「貸金業規制法21条第1項」に記載されています。
その取り立て禁止内容を、以下に分かりやすく列挙します。
- 借入をした人の私生活や業務に影響を及ぼすような脅しを使って取り立てをする行為の禁止
- 就寝している可能性のある時間帯の取り立ての禁止
(社会通念として非常識とされる時間帯[PM9時~翌朝AM8時まで]に債務者などの家を訪問、あるいは電話やFAXはNG!) - 借入をした人が借入金融会社に連絡をしている場合は、自宅訪問や電話での催促は禁止
(債務者などが弁済をし、あるいは連絡をした場合には住居への訪問、電話、FAXでの催促はNG!) - 借入をした人の勤務先での取り立ては禁止
(債務者等の勤務先など居住地以外の場所に訪問、電話、電報、FAXをするのはNG!) - 借入をした人がいる場所に訪問した際に、居座り続けることは禁止
(債務者がいる場所で、退去の要望(帰って欲しいなど)があった場合は、取り立てを行った者はその場所から退去しなければならない) - 「金返せ」などの張り紙を貼る行為の禁止
(債務者に借金があることを債務者以外の者に明らかにするのはNG!) - 借金返済のために他から金を借りさせる行為は禁止
- 保証人でもない者に借入した人の代わりに借金返済をしろと言う行為は禁止
- 借入をした人の居所や連絡先を無理に聞き出す行為は禁止
(債務者以外の者が協力を拒否しているにも拘らず、借金取り立ての協力を要求するのはNG!) - 借入をした人から「弁護士などに債務処理を依頼した旨の通知」を受けた場合、その後に借入をした人に直接連絡を取る行為は禁止
上記の取り立て禁止行為を見ると、決して取り立てにおびえる必要はないという事がわかります。
鬼のような取り立てが行なわれることはありませんが、だからと言って開き直って借金を返さなくても良いというわけではありません。 借りたお金は責任を持って返済するというのが大原則です。